VT/VTCシリーズ
今回は唯一無二の快適性を生むSelle SMPのベネフィットを幅広いライダーに体感していただけるVTシリーズの特集記事です。
スポーツバイクに乗り始め、誰もが直面するお尻の痛みに悩む方、理想のサドル探しの沼にハマっている方の手助けになれば幸いです。
◆SMPは人を選ぶ?
2004年に発表された立体的かつ曲線的なSMPサドルは、合う人にとっては手放せない最高のサドルにです。しかし、独特な形状にはまらないというお声もあり、ちょっとハードルが高めのサドルと思われている方もいるのではないでしょうか?
Selle SMPの根幹となる最も重要なテクノロジーは、サドル中央に先端まで大きく開いたCentralChannel(下左)と骨盤を面で支持する独自のSupport Area設計(下右)です。
これにより会陰部や尿道といった体のセンターラインを完全に圧迫から解放し、骨盤を面で支え、路面からの衝撃や荷重を分散させることで痛みを軽減し、唯一無二の快適性をもたらしています。
さらに骨盤の安定はペダルに加える力をしっかりと受け止め、踏力をスポイルすることなく動力に変換することでパフォーマンス向上も実現しています。
そしてSelle SMPのすべてのサドルは近年までこの機構によるメリットを最大化するべく、人体に沿うように、横から見て極端にカーブの多い形状のサドルとなっていました。(下写真:Selle SMP Composit)
これにより、骨盤の安定は最大限まで高められパワーロスを抑えた究極的なサドルとなっているのですが、一方で積極的に座る位置を動かして重心のコントロールをしたいライダーや、ポジションが定まり切っておらずベストポジションを探りたいライダーにとっては合わない要因の一つとなっていました。
これらの事から前述のような「人を選ぶ」というイメージにつながっている面も大きいように思えます。
◆SMPのメリットを多くの人に
そこでより多くのライダーにSMPのベネフィットを提供すべく、2018年にフラット形状のFシリーズがラインナップされ、翌2019年にはFシリーズと同形状で価格を抑えたVTシリーズがラインナップされました。(下写真:VT20)
これにより、ピンポイントなスイートスポットによる“ハマり感”はトレードオフされたものの、尿道や会陰部の圧迫からの解放と骨盤を面で支えるSMP独自のベネフィットを幅広い乗り方で体感できるようになりました。
さらにFシリーズの半分強の価格で手に入るVTシリーズは、初めてのサドル選びに是非おすすめしたい一本となっています。
◆安いだけではないVTシリーズ
VTシリーズはクッション素材の変更と、表皮を本革から接着剤や固定具を使わずに装着されたSVT Velvet Touchに変更することで低価格を実現。本革を採用するモデルよりも汚れや擦れに強く、雨でも泥でも気にすることなく使えます。
普段から通勤や通学で乗ることが多いライダーや、MTBやグラベル、シクロクロスなどのハードな状況で使う方にはFシリーズよりもVTシリーズがおススメです。
それ以外の部分ではレールやベースの素材も変更が無く、一体化されたサドルレールによりサドル後部のたわみを抑えて抜群の骨盤の安定性を実現するテクノロジーも採用されています。
そして、他のSelle SMPサドル同様全てMade in Italyです。
細かい点に変更はあるもののハイエンドのFシリーズが持つSMPサドルのテクノロジーのベネフィットしっかり享受できる驚異的なハイコストパフォーマンスモデル。それがVTシリーズです。
◆SMPはショートサドルとの相性抜群
同2019年からはVTシリーズのショートバージョンであるVT30Cが発売。また2021年からはVT20Cも追加されました。
ショートバージョンはその名の通り全長が短いサドルで、本来レースの規定をクリアしつつサドルを前方に設置するために開発されましたが、軽量であることと、立ち漕ぎでもウェアに引っかかりにくいという特性から、サドルを前方にセッティングしたいユーザーの間で人気が高まっています。
座る位置を前にずらすと脚の重みや上半身の力がペダルに伝わりやすいためパワーが出やすくなりますが、膝に負担がかかり痛みの発生原因になることもあるほか、ポジションが窮屈になるなどのデメリットもあります。
そのためにセッティングが重要になるのですが、元来Selle SMPは一般的なサドルに比べて非常にセッティング幅が広くベストセッティングが出しやすい特徴を持っています。
また、前方に座る状況では上半身を最大限に前傾させて踏み込むことが多いため、そんな中でも尿道を圧迫しないように先端が曲がって落ちているSMPの特許形状が真価を発揮します。
これらSMP独自の特許技術により幅広いシーンやセッティングをカバーし、ショートサドルのメリットをスポイルすることなくデメリットを抑えたVTCシリーズは、
・ノーマルサドルからショートへの乗り換えを検討されている方
・軽量ながらしっかりと痛みにアプローチしたサドルをお探しの方
におススメしたいサドルです。
◆VT20/VT20CとVT30/VT30Cは幅の違い
ノーマル、ショートともに20と30がラインナップされていますが、これらの違いは座面の幅の差です。VT20は幅144mm, VT30は155mmとなっており座骨の広さによってフィットする方を選びます。ショートサドルのVTCシリーズはサドル長が約25mm短くなっています。一般的には小柄なライダーほどVT20/VT20Cがフィットする傾向にありますが、女性は骨盤が広めな場合も多いため実際にはショップでご相談いただいてからのご購入がおススメです。
⇒ SELLE SMP取り扱い店舗一覧はこちらから
ミズタニ自転車ではどなたでもお試しいただける貸出サドルもご用意しておりますので、「試してみたい!」という方は販売店様までご用命ください。
◆まとめ
- 独自のテクノロジーによりセンターラインの圧迫から解放
- 面で骨盤を支えて、痛みを低減
- ハイエンドの基本設計そのままに価格を抑えた驚異的コスパモデル
- SMPの特許技術によりショートサドルのデメリットを抑制したVTCシリーズ
- VTCはショートサドルへの乗り換えや初めてのサドル交換におススメの1本