KR4 & KM4 概念を覆すフィット感と軽量性。ニット素材のパイオニアがラインナップするミドルグレードシューズ

ツール・ド・フランス2連覇を成し遂げたタディ・ポガチャルの足元を支えるDMTのテクノロジーを落とし込んだミドルグレードシューズが、KR4(ロードモデル)とKM4(マウンテンバイクモデル)です。
 
KR4 (Black/Petrol Blue) と KM4 (Black/Bronze)

KR4は片足227g(42サイズ)、KM4は301g(42サイズ)と同クラスのシューズでは驚異的に軽いですが、このシューズがもたらす最も重要なベネフィットは、軽さではありません。

1978年にイタリアで設立し、Design, Material, Technologyの頭文字をとって名付けられたブランド名の通り、早くからマイクロファイバー素材を取り入れるなど積極的に新素材を採用する一方で、靴を知り尽くしたイタリアらしいツボを押さえた作りの良さを特徴としてきました。

そんなDMTがサイクリングシーンにおいて特別な存在となったのは2018年、エンジニアードニットモデル「KR1」の発表によるものでした。

 
初めてエンジニアードニットが採用されたKR1と、加工前のニット素材

サイクリングシューズのアッパーは通常、引き足に対応するために伸びない素材で作られていますが、DMTのエンジニアードニットは部位によって細かく伸縮性をコントロールされており、パワーロスにつながる部分では剛性を確保する一方、硬い素材との擦れや圧迫がストレスになる部位では伸縮性を発揮します。これによりペダリング効率を確保しつつ、足とシューズが一体化したような異次元の履き心地と快適性をもたらすDMT独自のテクノロジーです。

さらに、エンジニアードニットは素材そのものが軽量で、優れた通気性を持ち、アッパー自体が伸縮性を備えたことでタンが不要になり、タンのずれによるストレスからもライダーを解放します。

このような特徴を持ったエンジニアードニットのベネフィットを継承するミドルグレードのナイロンソールモデルがKR4とKM4です。

中央部に伸縮性に優れたニットが配される

アッパーの構造はタンに相当する中央部分に伸縮性に優れたニット素材を配置し、その他の部位は全体に強化コーティングを施して伸縮率が抑えられた素材のハイブリッドエンジニアードニット構造となっています。フラッグシップモデルに採用される部位別の細かいチューニングは無いものの、日本人に多い甲の張る足の形状にも対応し、タン部分の当たりも柔らかく、エンジニアードニットのベネフィットを充分に享受できる構造です。

ダイヤルを締める前から足の甲に完全にフィットしている

調整機構はBOA®製ダイヤルが1個のみ。3ストラップや2ダイヤルが主流の昨今、1ダイヤルは頼りなく感じるかもしれませんが、実はDMTのエンジニアードニット構造において部位別調整の重要度は他のシューズと比較して高くありません。従来の硬いアッパーではダイヤルを調整して足の形に合うように部位別に締め付ける必要がありますが、エンジニアードニットでは締め付ける前から素材自体が形を変えて完璧に足の形にフィットしており、ダイヤルの役割はそれ以上伸びてパワーロスにならないように形状を保持するだけで良いからです。

 
ソール形状 KR4 と KM4

ソールはKR4がナイロンコンポジットソールで、ヒールラバーは交換が可能です。上位のカーボンソールに比べると多少柔らかい素材となるため、パワーを必要とする場面でのダイレクト感と引き換えに快適性が高く、ロングライドや快適性重視のライダーに適しています。

KM4もナイロンコンポジットソール仕様で、グリップに優れたラバーと着脱可能な2つのスパイクスタッズが装備されています。クロスカントリーやシクロクロスのエントリーとしてはもちろん、ベテランライダーでも歩行の多いトレイルライドや、クッション性重視でゆったりと楽しむグラベルライドにも最適です。

両モデルともソールは多少狭い設計となっているため100%のライダーに完全にフィットするわけではありませんが、エンジニアードニットの恩恵によって幅広い足の形状への対応力を確保しています。

同クラスのサイクリングシューズにおいて驚異の軽さと通気性を備えたKR4とKM4。しかし、限られたライディングタイムを充実させるうえでサイクリングシューズに求められる最も重要な要素は、足の痛みやストレスで楽しさを台無しにしないためのフィッティングではないでしょうか。
両モデルはそのようなライダーの選択肢に入れてほしいシューズです。